妊娠・出産を迎える女性へ

妊娠・出産を迎える女性へのアドバイス

当院では、妊娠・出産で受診される皆様に、小冊子『妊娠・出産を迎える女性へのアドバイス』をお配りし、お読みいただいています。
内容は私が日常の診療を通じて感じたこと、皆様にお伝えしたいことできるだけ分かりやすい表現で診療の合間に書き留めたものです。
30章に分けて書いていますので、毎月1章ずつ更新し、皆様にお読みいただけたら幸いに存じます。

第1章 「母性とは」

 広辞苑では、母親が持つ我が子に対する本能的な愛情と記されています。我が子を限りなく、いとおしく思い、愛し、我が身に代えてでも守ってあげたいという本能だと思います。
  ところが最近、我が子に対する聞くに耐えない虐待が新聞、テレビ等で報道されています。嘆かわしく、とても悲しい出来事です。


母性を育てるには受胎により出産に至るまでの期間がもっとも重要だと思います。そのために、私達は母性を確立させるために様々な試みを行っています。妊娠期間中には、できるだけ早く超音波装置で赤ちゃんの動きを見ていただきます。最近では、赤ちゃんの顔の表情まで捕らえられる立体画像の超音波まで開発されています。
  それから出産までの間、ソフロロジー分娩の指導(これは、母性を引き出す産前教育を行うことにより、陣痛という痛みが赤ちゃんを産み出す上でもっとも大切なエネルギーであり、この痛みがなければ赤ちゃんは生まれてこないというイメージトレーニング)を行います。これにより、陣痛を痛みとしてではなく、赤ちゃんに会える喜びとして受け入れることができるようになります。
  また、出産後には、できるだけ早くお母さんと赤ちゃんの接触が重要だと思い、いわゆるカンガルーケアを導入しています。これは、生まれた赤ちゃんを出産後、できるだけ早くお母さんの裸の胸にうつぶせで抱いていただきます。そうしますと、今までないていた赤ちゃんが、まるで安心したかのように静かになります。そして、しばらく経つと不思議なことに目には見えないのにお母さんのおっぱいを捜し始めるのです。


それから、退院までの一週間は個室での母子同室となり、できるだけ早く母と子の時間をとっていただきます。10ヶ月間、子宮の中であたたかく育まれていた環境から、突然まったく異なった世界へ分離された赤ちゃんが望むことは、母親の温もりを感じることであるはずです。


私達スタッフは赤ちゃんと出会える最高に感動的な瞬間を安心して迎えられるようにサポートし、この母と子の早期接触が産褥期の回復、精神的な安定、そして母乳分泌の促進等、母性の確立に大きな効果をもたらすと信じ、適切に寄り添い、見守っていきたいと思っております。